近現代文学B、近現代文学演習ⅠB、卒業研究ゼミ
前期:水曜日Ⅲ講時 後期:水曜日Ⅴ講時
子どもの頃から本を読むことが好きで、大学では日本文学を専攻しました。一方で個人的な境遇から「死」について考えたいと思い、大学一年生の時には哲学に専攻を変えることも検討しました。そのような時期に出会ったのが〈戦後派〉と呼ばれる作家で、特に大岡昇平の研究を中心としています。戦場経験を持つ彼の作品には、「死」と対峙し、もがく人間の姿が描かれています。このように「死」という、誰もが避けて通れない、普遍的な問題と格闘している文学作品に惹かれて、研究を続けてきました。また母娘関係を背景に、自ら死を選ぶ女性が描かれた作品群にも出会い、それらへの関心から母子関係の研究も行うようになりました。
「たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ 旧約聖書 詩篇二三章四節」
好きな言葉、というより、憧れの言葉です。「禍害をおそれじ」と断言する言葉の奥を見ようとし、まだ奥を覗き続けています。
「夜と霧」(フランクル)
理由:人間の本質を極限状態で観察した、学術的にも価値の高い本です。できれば若いうちに読んで素直に感動し、人生の礎にしてほしい一冊です。