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2025.08.04
学部?学科
    #文化総合学科

今年も磨きました! 文総ちょうこくみがき隊(3)

2025年7月13日(日)、文化総合学科の学生13名と教員1名、合計14名が、札幌大通公園ロータリークラブの皆様とともに、札幌彫刻美術館友の会主催の屋外刻清掃活動に参加しました。ちょうこくみがき隊としては今年度初めての参加となり、今回は大通公園で計6体の彫刻の清掃とその解説を行いました。
彫刻作品および清掃活動の詳細は以下の通りです。

《奉仕の道》
札幌?大通公園西6丁目にある《奉仕の道》は、1982年10月6日、札幌ロータリークラブの創立50周年を記念して建立されたブロンズ像です。作者は彫刻家の峯孝(みね?たかし)氏で、高さは82cm。北海道を象徴するエゾフクロウ、エゾシカ、ハシブトガラス、エゾウサギの4体が、八角形の台座に集まり、まるで対話するかのような構図が特徴です。
中央のエゾフクロウを囲んで、他の動物たちが耳を傾ける姿は、知恵を分かち合う寓話的な世界観を感じさせます。台座には「真実かどうか」「みんなに公平か」「みんなのためになるかどうか」「好意と友情を深めるか」の“四つのテスト”と、記念碑文、クラブのマークが刻まれています。

像の周辺は四季折々の自然に彩られ、春のライラックやチューリップ、夏のケヤキの木陰、冬の雪景色など、季節ごとの魅力も楽しめます。訪れた人々からは「かわいらしい」「心が和む」といった声も寄せられ、フォトスポットとしても人気です。
静かな佇まいのこの彫刻は、北海道の自然と倫理的な問いかけを融合させ、市民にやさしく語りかけてくれます。お散歩の途中に、ぜひ一歩立ち止まり、“その対話”に耳を澄ませてみてください。

《奉仕の道》
《奉仕の道》

《漁民の像》
《漁民の像》は1969年5月に、北海道漁協婦人部連絡協議会創立10周年と北海道100周年を祝って、田畑一作によって製作され設置されました。網を引く二人の男性、かごを持つ女性、そして子どもからなる、漁民一家を表した作品です。全道漁協婦人部員約3万人が1人300円以上の献金を行い、制作資金として使われました。
漁夫の背中には二羽のカモメがあしらわれているのですが、このカモメは過去に壊されてしまったことがあり、その後修復されました。隣には副碑があり、北海道の漁業に従事した人々を称える内容が書かれており、漁民の像は厳しい自然環境の中で開拓と漁業の発展に尽力した先人たちへの敬意と感謝の気持ちが込められた作品であるといえます。

《有島武郎文学碑》
《有島武郎文学碑》は、昭和32年(1962年)に作家?有島武郎の没後40年を記念し、有島武郎記念会によって建てられました。像の隣の碑文には、有島武郎が40歳の時に雑誌『新潮』で発表した「小さき者へ」の一節が刻まれており、人道主義や理想主義に基づく有島の思想を感じることができます。清掃時は、汚れをしっかりブラシで取り除いた後で、女性と子の顔や体のライン、碑文の1文字1文字がはっきり美しくなるように、ワックスを広げながら塗り、磨き上げました。

《漁民の像》を清掃する様子
《漁民の像》を清掃する様子
《有島武郎文学碑》を清掃する様子
《有島武郎文学碑》を清掃する様子

《黒田清隆之像》
《黒田清隆之像》は、1967年に北海道100年を記念して、北海道開拓功労者顕彰像建立会によって隣に並ぶホーレス?ケプロン像と同時に建てられました。構想は加藤顕清、制作は雨宮治郎です。
黒田清隆は1870年に北海道で開拓次官、その後は開拓使長官となりました。多くの外国人指導者を招聘して、北海道の開発、農工業の振興に注力し、後の札幌農学校となる「開拓使仮学校」を開校したことなど、今日の北海道および札幌が発展するための基礎を築いたため、「北海道開拓の恩人」といわれています。

《ホーレス?ケプロン之像》
《ホーレス?ケプロン之像》は、1967年に北海道開拓100年を記念し、黒田清隆像とともに設置された彫刻作品です。作者は野々村一男で、左足を踏み出した力強い姿勢は、隣に並ぶ黒田清隆像との調和を意識して構成されたとされます。台座の背面にはケプロンの功績が刻まれた碑文があり、その貢献の意義が記されています。
ホーレス?ケプロンは、明治4年(1871年)に開拓使長官?黒田清隆の招聘により来日し、開拓顧問として北海道開発を支援しました。当時アメリカ農務省長官だったケプロンは、科学技術や農業の知識をもとに、北海道の近代化に尽力しました。東京に官園を設けて作物や家畜の試験飼育を行い、農業技術者の育成にも関与しました。
在日中には道内各地を視察?調査し、北海道開発に関する提言を含む「ケプロン報文」を作成しました。その中で札幌を拠点とすることや高等教育機関の設置を提案し、後の札幌農学校設立のきっかけとなります。
ケプロンの像は、大通公園の西から東を見渡す位置に立ち、彼が残した知的かつ実践的な遺産を静かに語りかけています。北海道の近代化における重要人物として、その姿は時代を超えて顕彰され続けています。

黒田清隆像とホーレス?ケプロン像
黒田清隆像とホーレス?ケプロン像

※当日は、既にビヤガーデン用の仮設テントが設置されていたため、当初予定していた黒田清隆像(写真手前)とホーレス?ケプロン像(写真奥)の高圧洗浄機による清掃は行わず、解説のみの活動となりました。

《若い女の像》
《若い女の像》は、彫刻家?佐藤忠良によって制作され、昭和59年(1984年)に札幌で開かれた第23回東洋東南アジアライオンズフォーラムを記念し、組織委員会から寄贈されました。高さ150cm、ブロンズで作られた像のモデルになっているのは、作者の娘であり、女優の佐藤オリエです。この像は、ちょうど見ごろを迎えているバラ園の中央に立ち、大正時代に建てられた札幌資料館とも美しく調和している点が印象的です。清掃の際には、特に多かった鳥の糞を丁寧に洗い流し、仕上げのワックスがけでは、像の綺麗な顔や鎖骨部分が太陽の光が当たった際に、綺麗に輝くように、丁寧に磨きました。

《若い女の像》を清掃する様子
《若い女の像》を清掃する様子

当日は晴れていて暖かかったため、清掃するのにちょうど良い天気でした。今年度初の清掃活動では新たメンバーも増え、過去最多の参加者数になりました。また、昨年に引き続き彫刻の解説も任せていただき、彫刻作品について学ぶ貴重な機会になりました。
札幌彫刻美術館友の会の皆様のおかげで今年も清掃活動に参加させていただきました。あらためてお礼申し上げます。

(文責: 藤女子大学文学部 「文総ちょうこくみがき隊」一同)